「これは10いけるだろ」そう思ってPSA鑑定に出したカードが、9点や8点で戻ってきた経験はありませんか。
PSA鑑定10は、単に状態が綺麗だから取れるわけではありません。
センタリングが良くても、角が欠けていなくても、印刷ズレやインク不良、製造上の個体差があれば普通に落ちます。
実際、プロの目利きが見るのは「見た目の美しさ」ではなく、カードがどれだけ“正しく作られているか”という部分です。

この記事では、なぜ自信のあるカードがPSA10を逃すのか、鑑定前にどこを見れば「10狙い」「9覚悟」を判断できるのかを、実例ベースで整理します。
PSA鑑定10を取るために、まず知っておくべき前提
PSA鑑定の世界に足を踏み入れるなら、まず自分の「綺麗」という基準を疑うことから始めてください。グレーダーが見ているのは、あなたの愛着でもカードの輝きでもありません。
その本質を理解しないまま提出を繰り返すのは、鑑定費用をドブに捨てるのと同じこと。プロの厳しい視点に、自分の感覚をアジャストさせていきましょう。
PSA鑑定は「綺麗=10点」ではない
PSA10という評価は、カードに傷がないことだけでなく、カードが「完璧な状態で製造されたか」までを問う厳しい審査なんです。
パック開封直後の「新品」であれば10点が取れる、というのは大きな誤解と言わざるを得ません。
どんなに丁寧にスリーブへ入れ、暗所で保管していても、印刷段階で枠がコンマ数ミリずれていれば、その時点で10点は絶望的です。
鑑定は「保管状態」のテストではなく、製造から保管まで含めた「完成度の審査」であると、まずは理解してください。



僕も最初は「新品なら10点だろ」って思ってたんですけど、現実は甘くなかったですね。製造時の初期傷やズレが、個人の努力を無慈悲に踏みにじってくるのがこの世界です。
PSAはカードの「完成度」を総合評価している
PSA10を勝ち取るためには、表面・裏面・角・センタリングという全方位のチェックが必要です。
どこか一つの美しさに目を奪われ、他の弱点を見逃してしまうのが初心者が最も陥りやすい罠と言えます。
一箇所でも致命的なポイントがあれば、他が完璧でも評価は伸びません。



すべての項目で減点を回避し、いかに「隙のない状態」で見せるか。この総合的な視点こそが命運を分けます。


PSA鑑定10を逃す代表的な減点ポイント
なぜあなたの自信作が9点になったのか。その理由は、あなたが「見ているつもり」で見落としている細かいポイントに隠されていることがほとんどです。
多くの場合、減点理由は偶然ではなく、必然的な理由があって発生しています。代表的な落とし穴を一つずつ潰していきましょう。
センタリングは「枠」ではなく「印刷ズレ」を見られている
グレーダーは、カード端の枠だけでなく、中央のイラストやテキストの位置関係、つまり印刷の総体的なズレを見ています。
多くの人が「左右の枠の太さが同じならOK」と考えがちですが、実際にはもっとシビアな視点が必要です。
イラストの境界線や周辺の余白が、本来あるべき位置からわずかに浮いていたり、沈んでいたりするだけで減点対象になります。
枠の太さだけをチェックしても不十分。カード全体のバランスを見て「印刷が正しく真ん中に配置されているか」までを評価基準に入れてください。
角(コーナー)は「欠け」だけでなく「波打ち」も見られる
一番見逃しやすいのが、コーナーの形状そのものに潜む隠れた波打ちや歪みです。
白欠けがないことを確認しただけで満足していませんか?真正面から見て綺麗でも、斜め横から光を当てると、わずかに波打っていたり、紙が浮き上がったりしていることがあります。
こうした微細なダメージは、高倍率のルーペや特殊な光源下でははっきりと浮き彫りになります。
角が丸く残っているかではなく、紙質自体が最後まで美しく維持されているか。この視点がないと、予期せぬ9点という結果に泣くことになります。
フルアート・全面イラストは印刷不良が出やすい
フルアート系(SARやSR)のカードは、カード全面を覆う特殊な加工やインク自体が、印刷ズレやホイル欠けのリスクを常に内包しています。
一見豪華で綺麗に見えますが、特定の角度から見ると微細な擦れ傷や、加工の乗りが悪いスポットが点在しているケースが非常に多いです。
また、イラストが全面にある分、センタリングのズレも目立ちやすくなります。
豪華なカードほど減点が生まれやすいという自覚を持って検品に臨むべきです。



SARとかは本当に怖いですよ。ピカチュウとか高額なカードに限って、肉眼では見えないレベルの加工不良があったりします。ホルダーに入る前に、執拗なまでの角度チェックが必要です。
インクド(印刷不良)は即アウトになりやすい
インクド(印刷不良)と呼ばれる現象は、どんなに他が完璧でも一発で10点の可能性を奪う致命的な要素です。
カードの端に極小のインク溜まりがあったり、特定の線がかすれていたりする場合、グレーダーは容赦なく点数を下げます。
皮肉なことに、これらは開封してすぐに確認しても判別が難しいことが多いです。しかし、プロは見逃しません。
「自分には綺麗に見える」という感覚ほど、鑑定においては当てにならないものはないと心得てください。
PSA鑑定10を取るための事前チェック方法
提出前のチェックで最も大切なのは「自分の希望」を完全に排除して、突き放した視線でカードを観察することです。
自分のカードを他人の厳格な商品だと思って検品してください。甘い評価は、鑑定費用を無駄にするだけでなく、精神的なダメージを増やすだけです。
必ず「斜め・側面・角度」を変えて確認する
プロの視点を持ちたいなら、カードを傾け、光の屈折を利用して表面をなぞるように確認しなければなりません。
正面からライトを当てて満足するのは、ただの管理不足です。角度チェックこそが、正面からは見えない「深層の傷」を暴き出します。
また、側面(切り口)を真横から見ることも忘れないでください。紙の層が剥がれかけていたり、裁断時の毛羽立ちがある場合、横から見れば一発で分かります。
あらゆる角度から光をぶつけ、影ができる場所がないかを徹底的に探す。この執着が10への近道です。
表面・裏面だけでなく「カード内部」を意識する
表面に見えるわずかな「凹み」は、カード内部の紙層が押し潰されている証拠であり、これは非常に重い減点対象となります。
表面の汚れなら優しく除去すれば問題ありませんが、紙の構造そのものが破壊されている傷は、どうしようもありません。
出す前に「これは単なる表面の傷か、それとも内部に達する損傷か」を切り分ける力が必要不可欠です。
内部まで達しているダメージを見つけたなら、素直に鑑定提出を諦めるのが賢い選択でしょう。
センタリングが良くてもPSA10にならない理由
「センタリングは完璧だから、10点は固い」という油断が、最大の失敗を招きます。
鑑定は全ての項目の平均点ではなく、最低点の評価に引っ張られるという残酷な性質を持っているからです。マリィなどの人気カードでも、この法則に泣く人は後を絶ちません。
他に減点要素があれば10点は付かない
センタリングが黄金比であっても、裏面に針先ほどの小さな白欠けが一つあれば、10点の可能性は消え去ります。
PSA10は「減点する場所がないカード」にのみ与えられる、いわば無欠の称号なんです。欠点のない状態こそが正義です。
「このセンタリングなら他の傷は相殺される」なんていう都合の良いルールは存在しません。
自分にとっての最高評価ではなく、グレーダーが見つけるかもしれない最低の欠陥にこそ、意識を集中させるべきです。
PSA鑑定は最終的に「グレーダー判断」が入る
どれだけ理論を武装しても、最後に評価を下すのは機械ではなく人間です。鑑定には必ず「人の目」が介入します。
ここには、絶対に避けては通れないグレーダーの揺らぎという不確定要素が存在していることも事実です。これを理解せずして、PSA鑑定を攻略することはできません。
同じカードでも評価が分かれることがある
同じカードを別のタイミングで提出し直すと評価が1点変わる、というのは鑑定界隈ではよくある「評価のブレ」です。
最後はグレーダーという人間が、その瞬間に受けた印象で判断します。基準はあれど、その解釈には幅があるのが現実です。
だからこそ、「理論的には10のはずなのに」というこだわりは一旦横に置いておきましょう。
提出自体が不確定な審判に身を委ねる勝負であることを、大人のコレクターなら受け入れるべきです。
PSA鑑定10を狙う行為は「自己責任の勝負」
最終的に提出ボタンを押すのはあなたです。その重みを理解しないまま、誰かの情報を鵜呑みにして出すのは、ただのギャンブルと変わりません。
自分の目で見て、納得して、覚悟を決めて出す。そのプロセスこそが鑑定の醍醐味であり、リスク管理そのものなのです。
自信があっても9点になることは普通にある
どんなに何時間もかけて検品しても、9点で返ってくる。それがPSA鑑定の日常であり、避けて通れない現実です。
僕も「あんなに頑張ってチェックしたのに」という虚無感を、何度も、本当に何度も味わってきました。それでも立ち上がるしかありません。
コレクターができるのは、不運の確率を1%でも下げるための徹底的な準備と、結果を受け入れる精神力だけです。
鑑定提出は、希望ではなく自分自身の「覚悟」を試す場でもあると、僕は考えています。


プロと一般コレクターの決定的な違い
最後に、長年この世界で高いPSA10率を維持しているプロたちが、何を基準に動いているのかを整理しておきましょう。
彼らが見ているのは、もはや「カードの表面」という枠組みを超えています。「作りとしてのカード」を構造的に捉えているのです。
プロは「違和感」を構造レベルで見ている
プロのコレクターは、カードが発する微細な違和感を構造レベルで察知する能力を持っています。
彼らは何万枚というカードを見る中で、工場ごとの裁断の癖や、時期によるインクの発色の違いまでを頭に叩き込んでいます。もはや感覚の領域です。
特定の角度で光が歪む、手触りにわずかな厚みの差がある、といった違和感を察知した瞬間、彼らは10の期待を冷静に切り捨てます。
表面的な美しさに惑わされず、カードの「作り」そのものを構造的に眺める視点。これこそが、素人とプロを分かつ境界線です。
まとめ
PSA鑑定で10を取るということは、決して「運ゲー」ではありません。
そこには、見落としていた明確な理由と、向き合うべき残酷な事実が存在しています。
次にカードを手に取るときは、ライトを斜めから当て、自分に「9点かもしれない理由」を問いかけてみてください。
その問いに論理的に答えられるようになったとき、あなたの鑑定の精度は間違いなく上がり、無駄な出費も減るでしょう。
PSA10を目指す道は、自分の目を磨き続ける旅でもあります。納得のいく1枚を、納得のいく覚悟で出す。
その積み重ねの先に、至高のラベルを手にする瞬間が待っています。









